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今日、おじいちゃんが亡くなりました。明日、葬式をします。お花をお願いします。

木曜日のお昼前、造園の仕事をしてくれているN君から電話が入りました。
「おじいちゃんが今日亡くなりました。葬儀屋さんを決めて、話を進め、明日、「家族葬」で葬式をすることになりました。お花の事、一切お願いします。とりあえず、枕花をひとつお願いします。」

N家とはお付き合いは長く、N君が大学生の時は、当店でアルバイトをしていたし、お母様はお客様であり、家内の友人でもあります。数年前にはひいおじいちゃんの葬儀の際の生花装飾一切をさせていただいたし、N君の結婚式には参列させていただき、ブケーも作らせてもらった。

そんな、深いつながりのあるおうちだから、家内は「ぜひ、させていただきます。」と返事したが・・・・、さあどうしよう・・・・。

定休日の「お休みモード」から、一気に「仕事モード」のトップギアに突入。
まずは「そうめん流し」で倉庫状態になっているトラックの荷台に山のように積まれた荷物を降ろし、店の中と外に収納することから始める。
一人でやるから、ちょっとしたウェイトトレーニングだ。ジム通いなど必要ない。
「今日のあした」  こんな急な葬儀の仕事はしたことがない。担当葬儀社とも初めて、会場の目黒「羅漢寺会館」も初めて。ただ分かっていることは普通の斎場とは違い、腰ぐらいの高さのステージになっている・・・ということ。現場での調整が求められます。
N家との打ち合わせの前にまずは花を手配します。白、グリーン、紫のトルコキキョウ、白、グリーンのアンスリウム、大量の葉物、オンシジュウム、胡蝶蘭鉢。打ち合わせを済ませてから、手配したのでは間に合いません。見切り発車です。それでも思うような花材は揃いませんでした。
打ち合わせを済ませ、いただいた予算の中でできる構成をふたりで考えます。
①明るい色の花も飾って欲しい。→ひまわりとオンシジュウムの花を二つ作る。
②後飾りに生花は飾りたくない。→胡蝶蘭の鉢を4つ、飾りの中に入れる。
③植木屋さんの葬儀らしく。→ドウダンツツジのような枝ものやもみじやシダのような植木も飾る。
④季節の分かるような花を使って欲しい。→この暑い時期、アンスリウムしかないでしょ。

12基の花と胡蝶蘭4鉢、ドウダンツツジ10本、焼香台のアレンジメントを当日早朝、花を仕入れ、その花を水揚げし、花を作成し、資材、備品とともにトラックに積み込み、現場でレイアウト、4時半には完成しなければ、ならない。「綱渡り」もいいところ。
私と家内の二人だけではとてもできないのは目に見えている。「派遣」の会社に数社、当たったが無理だった。
幸い、アルバイトのJさんが9時から11時まで水揚げをしてくれることになった。N君の会社の学生バイトの男の子がドライバーとアシスタントで1時から6時まで来てくれることになった。後は「出来」はどうあれ、自分たちの出来る限りのベストを尽くすだけ。
2時に花が出来上がり、たくさんの備品・・・キャビネット、ベンチ、スタンド類、布地、桶各種、ビニールシート・・・とともにトラックに積み込みます。我ながら、絶妙の組み合わせでぎりぎりに収まりました。

そして、現場でのレイアウト。やはり、葬儀社担当者とうまくかみ合いません。なかなか、はかどりません。
でも、そこは家内の経験と交渉力が威力を発揮します。こういう場面では私は雑用係に徹します。
そして、4時半、出来上がった祭壇。とても、家族葬とはいえない、立派な一般葬の規模になりました。
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ちょうど、N家の皆さんも会場に見え、「きれい!」「立派!」「ありがとうございます!」 合格点をいただいた。
ほっとして 帰路に着いた。使わず、持ち帰った備品を片付け終わり、お昼の弁当にありついたのは6時だった。


by junishimuraf | 2017-07-30 01:00 | 花屋の仕事

花屋店主の毎日


by junishimuraf
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