先日、上原中学校から電話を頂戴しました。「日頃は当校の体験学習にご協力いただき、有難うございます。つきましてはこの功労に感謝申し上げ、当校より推薦をさせて頂き、教育委員会より表彰状を差し上げたいので授賞式にご列席いただけないでしょうか?」
上原中学の2年生の体験学習は、私の記憶の限りでは2003年ぐらいから始まっている。
最初は1日だけで、受け入れは数人(5~6人)だった。あわただしい1日だった。
1日だけの体験が数年続き、それが5日間通しに変わった。当然、こちらの受け入れの能力から言えば、2人が限界。
毎年、女の子が2人、来るようになった。1人の時も3回ぐらい、男の子2人の時も1回あった。
「ふたり」をカップリングするのに担当の先生は苦労をしていたようだ。ただ、希望の店や企業に生徒を派遣するのでなく、能力や適性、預かり先の希望も考慮しなくてはならない。
幸いにも、当店には優秀で勘のよい子たちが毎年来てくれた。
頭がいい・・・というだけでなく、植物や色彩、デザインなどに対する感覚が優れている子が多かった。学校では気がつくことが出来ない潜在的な能力や才能に驚かされた。
私たちが教えた一番のことは「花はものではなく、いきもの。」ということ。
「水揚げ」が体験学習の大部分を占めた。
男の子2人の時は個人宅の庭の雑草取りを3日続けた。彼らにはかなりハードな体験だった。
でも、3日掛けて、綺麗になった庭を見て、「やり遂げた」達成感を味わえたのも収穫だったと確信している。
いままで、14年間、まだ「私、フローリストになりました。」といって私たちの前に現れた子はいません。
でも、そういう子が現れる日を夢に見、これからも継続してゆきたいと思っています。
さて、晴れがましい当日。あわただしく、仕入れ、水揚げ、配達を家内、EMIさんとこなし、着替えます。
「やっぱり、ツイードのジャケットではなく、スーツだよね。それとも礼服かな?」
「そりゃ、スーツでしょ。やっぱり。」と家内のアドバイス。
還暦を記念して6年前に仕立てた「いっちょうら」のスーツ。まだ6回しか着ていない。
会場は新宿御苑そばの「四谷区民ホール」。参加者は都教育委員会、教職員、教育関係者、そして私を含む功労者30数名。
学校側、受け入れ側、仲介する任意団体によるパネルディスカッション。大学教授による基調講演。そして、壇上に上がり、表彰状授与式。2時間半の式典は終了しました。
今回の式典に参列して感じたこと。「これからの子どもは大変だ。」AI(人工知能)がどんどん人間の職域を狭め、どう人生設計を立てればよいのか・・・・。そういう意味では体験学習は大きなヒントになるかもしれない。
そして、彼らが、家庭でもなく、学校でもない、街のおじちゃん、おばちゃんから時に厳しく、時に優しく、叱られ、褒められ、挫折を味わったり、自信を深めたりすることがとても大切なこと。彼らの財産になるだろうし、それをすることが私たちの使命、役割・・・ということを再認識しました。